Loggingctlを使用したシステムログの管理
ログ制御CLI(LoggingCtl)は、 Vegaデバイス上のログデータを管理、表示、テストするためのコマンドラインインターフェイス(CLI)ツールです。loggingctlコマンドにアクセスするには、kepler exec vda shellコマンドを使用して、Vegaデバイスシェルに入る必要があります。
このツールを使用すると、次の操作を実行できます。
- リアルタイムのログモニタリングを通じてアプリの問題をデバッグする。
- さまざまなプロセスのログレベルとレートを構成する。
- 保存されているログとクラッシュレポートにアクセスして分析する。
- ログストレージと保存期間を管理する。
- 診断データを使用してシステムの問題を調査する。
基本的な使用方法
$ loggingctl
Logging CTL
使用方法:loggingctl <コマンド>
コマンド:
config 構成コマンド - ログシステムの優先度とレート制限を編集します。
log ログ表示コマンド - デバイスで生成されたランタイムログを照会します。
vault ボールトコマンド - デバイスにアーカイブされているログデータとクラッシュデータを照会します。
test テストコマンド - システムのテストに使用されるコマンドです。内部使用のみ。
help このメッセージを表示するか、特定のサブコマンドのヘルプを表示します。
オプション:
-h、--help ヘルプを表示します。
-V、--version バージョンを表示します。
構成コマンド
構成コマンドを使用して、アプリのログ動作を制御します。(注:画面の出力に関する日本語表記は説明のために提供しています。実際には英語で表示されます。)
$ loggingctl config [オプション]
オプション:
--set-level <プロセス> <レベル> 最小の優先度レベルを設定します(例:"my-service info")。
--get-level <プロセス> 最小の優先度レベルを取得します。
--mute <プロセス> すべてのログをミュートします。
--set-rate <プロセス> <レート> 最大のログレート制限を設定します(例:"my-service 100")。
--get-rate <プロセス> 最大のログレート制限を取得します。
--get-suppression <プロセス> 抑制ステータスを取得します。
-h、--help ヘルプを表示します。
構成のリセット
ログ構成をデフォルトにリセットする方法は次のとおりです。
-
レート制限: レートをデフォルト値(1000)に戻します。
loggingctl config --set-rate <プロセス> 1000警告:--set-levelを使用する場合、レートを300ログ/秒超に増やすと、システム負荷の増加によりログが失われる可能性があります。 -
ログレベル: レベルをデフォルト(info)に戻します。
loggingctl config --set-level <プロセス> info -
変更をシステム全体に適用するには: ロギングサービスを再起動します。
systemctl restart systemd-journald注: ロックされたデバイスでは、サービスを再起動する代わりにリブートする必要がある場合があります。
logコマンド
systemd-journaldメモリからリアルタイムで、または保存されているデータからログを表示できます。
loggingctl logコマンドは、デフォルトで現在のセッションからのログのみを表示します。古いログを表示するには、Vega仮想デバイスで—-bootオプションを使用します。Fire TV Stickの場合は、loggingctl vaultコマンドを使用して以前のログを表示できます。
$ loggingctl log
ログ表示コマンド - デバイスで生成されたランタイムログを照会します。
使用方法:loggingctl log [オプション]
オプション:
-f、--follow 記録中のログをフォローします。
-p、--priority <優先度> 優先度で絞り込み:指定した優先度のみに絞り込みます。複数回定義できます。
-k, --kernel カーネルログのみに絞り込みます(実装されていません)
-t、--identity <ID> SYSLOG_IDENTIFIERで絞り込みます。複数回定義できます。
-a、--tag <タグ> ログのタグ文字列で絞り込みます。複数回定義できます。
-b、--boot <ブート> ブートIDで絞り込みます。複数回定義できます。
-P、--pid <PID> PIDで絞り込みます。複数回定義できます。
-T、--tid <TID> TIDで絞り込みます。複数回定義できます。
-F、--facility <ファシリティ> SYSLOG_FACILITYで絞り込みます。複数回定義できます。
-S、--since <開始時刻> 指定した時刻以降で絞り込みます。1回だけ定義できます。
-U、--until <終了時刻> 指定した時刻までで絞り込みます。1回だけ定義できます。
-o、--output-format <出力形式> 出力形式を"short_precise"または"short_concise"(デフォルト)で指定します。 無効な文字列を指定するとデフォルトの出力に設定されます。1回だけ定義できます。
-v、--vpkg <VPKG> パッケージIDでフィルタリングします。複数回定義できます。
-h、--help ヘルプを表示します。
ログの表示に推奨されるフィルター
React NativeおよびJavaScriptの開発者の場合は、パッケージIDフィルター(-v)を使用して特定のアプリのログを表示します。
# アプリのパッケージIDでログをフィルタリングします(推奨)。
loggingctl log -v "com.amazondeveloper.yourapp" -f
# 優先度レベルでフィルタリングします(console.*メソッドで動作します)。
loggingctl log -v "com.amazondeveloper.yourapp" -p err -f
-vで指定するパッケージIDは、構成コマンドで使用される識別子と(<プロセス>パラメーター)同じです。JavaScriptロギングに関する注意事項
KeplerアプリでJavaScriptロギングを使用する場合:
推奨アプローチ: ログレベルのフィルタリングにはconsole.*メソッドを使用します。
console.log("Info message"); // INFO レベルにマッピングします。
console.warn("Warning message"); // WARNINGレベルにマッピングします。
console.error("Error message"); // ERRORレベルにマッピングします。
console.*メソッドを使用してください。サポートされている引数キーワード
--priority、--facility、--since、--until、--output-formatの各コマンドは、特定のキーワードを受け取ります。
-
優先度レベル - 優先度レベルを設定してログの表示を制御するには、
--priorityを使用します。これにより、指定の優先度レベルのみを表示するようにログ出力がフィルタリングされ、独自のコンポーネントやその他のプロセスのログに集中しやすくなります。- emerg - システム利用不可。マップ先:
- APMF_LOG(…, FATAL)
- alert - 即時対応が必要。
- crit - 重大な状態。マップ先:
- LOG_F(FATAL)
- LOG_S(FATAL)
- err - エラー状態。マップ先:
- APMF_LOG(…, ERROR)
- LOG_F(ERROR)
- LOG_S(ERROR)
console.error()(JavaScript)
- warning - 警告状態。マップ先:
- APMF_LOG(…, WARNING)
- LOG_F(WARNING)
- LOG_S(WARNING)
console.error()(JavaScript)
- notice - 正常だが重要な情報がある状態。
- info - 情報メッセージ。マップ先:
- APMF_LOG(…, INFO)
- LOG_F(INFO)
- LOG_S(INFO)
console.error()(JavaScript)
- debug - デバッグレベルのメッセージ。マップ先:
- APMF_LOG(…, DEBUG)
- LOG_F(DEBUG)
- LOG_S(DEBUG)
- emerg - システム利用不可。マップ先:
-
時刻の指定 - 時刻でログをフィルタリングするには、
--sinceまたは--untilを使用します。- キーワード:now、yesterday、today、tomorrow
-
時刻の形式:
%Y.%b.%dT%H:%M:%S (2024.12.21T16:00:59) %Y.%b.%dT%H:%M (2024.12.21T16:00) %Y.%m.%dT%H:%M:%S (2024.Dec.21T16:00:59) %Y.%m.%dT%H:%M (2024.Dec.21T16:00) %H:%M:%S (16:00:59) %H:%M (16:00)
-
--output-formatによる出力形式の指定:a. short_concise(デフォルト)
__REALTIME_TIMESTAMP _HOSTNAME SYSLOG_FACILITY.PRIORITY SYSLOG_IDENTIFIER[_PID]: TID MESSAGE例:
Nov 01 14:08:20.522382 amazon-8668d42631656f65 daemon.info smartboxd[1076]: 1076 I SmartBox:[run] watchdog service at 757064b. short_precise
__REALTIME_TIMESTAMP _HOSTNAME SYSLOG_IDENTIFIER[_PID]: MESSAGE例:
Nov 01 14:59:49.134671 firestick-83f109b314d1eb9e smartboxd[872]: I SmartBox:[LogViewer] Opened
Vegaパッケージの場合、LoggingCtlはSYSLOG_IDENTIFIERを使用するのではなく、_CMDLINEを使用して元のパッケージURLを表示します。アプリのログを最も確実にフィルタリングするには、-v (パッケージID)フィルターを使用します。
例:
System service log
Nov 01 14:59:49.134671 firestick-83f109b314d1eb9e smartboxd[872]: I SmartBox:[LogViewer] Opened
Vega package log
Nov 01 15:17:39.279675 firestick-83f109b314d1eb9e local0.debug com.amazon.dev.shell:dev_shell_app[2617]: 2 D base-monitor-loop:[BaseMonitoredAsyncLoop.cpp:53] Scheduling new idle work
vaultコマンド
smartboxdボールトシステムの管理とアクセスを行うことができます。
$ loggingctl vault
ボールトコマンド - デバイスにアーカイブされているログデータとクラッシュデータを照会します。
使用方法:loggingctl vault [オプション]
オプション:
--flush アーティファクトの登録を強制します。
--upload <アップロードタイプ> ログ/クラッシュをアップロードします。
--purge <アーティファクトタイプ> アーティファクトを削除します。
--get-index <タイプ> <クライアント> クライアントインデックスを取得します。
--set-index <タイプ> <クライアント> <インデックス> クライアントインデックスを設定します。
--last-index <アーティファクトタイプ> 最後のインデックスを取得します。
--get-index-stats インデックスの統計を出力します。
--config パスの構成を表示します。
--storage [<アーティファクトタイプ>] ストレージの使用状況を表示します。
--enroll <タグ> <ファイル名> <データ> [<zero-content>] [<zero-meta>] 手動でアーティファクトを登録します。
--health-check システムの健全性を検証します。
--cat <タイプ> <インデックス> ボールトの内容を表示します。
--ls [<アーティファクトタイプ>] アーティファクトの一覧を表示します。
--json-dump <タイプ> メタデータをJSONとしてエクスポートします。
--size <タイプ> <インデックス> アーティファクトのサイズを表示します。
-h、--help ヘルプを表示します。
パーミッション構造
LoggingCtlには、デフォルトおよびコンポーネントシェルのパーミッションを通じたロールベースのアクセス制御が実装されています。デフォルトまたはコンポーネントシェルモードで操作する場合、次の情報にアクセスできます。
-
ログインデックスの追跡と管理を行うインデックス操作:
--last-index- 最新のログエントリのインデックスを表示します。--get-index-stats- 現在のログインデックスに関する統計情報を取得します。
-
--catを使用してログを表示するためのコンテンツアクセス:- コンポーネント固有のログ
- サイドロードされたパッケージのログ
- システムプロセス:stemd、lcm_service、inputd、関連サービス
-
次のコマンドを使用してアーティファクト情報を表示するリスト操作:
--ls- 使用可能なログを一覧表示します--json-dump- メタデータをエクスポートします--size- アーティファクトファイルのサイズをチェックします--storage- vaultストレージの合計または特定のアーティファクトストレージをチェックします
すべてのリスト操作は、main、system、SYSTEM_TOMBSTONE、ACR_REPORTで機能します。
アクセス拒否
許可されていない操作を試みたり、特権データにアクセスしようとしたりすると、拒否のレスポンスが返されます。
{
"error": "Insufficient permissions",
"status": -7
}
ログへのアクセス制限
LoggingCtlでは、次のログタイプへのアクセスは制限されます。
- サイドロードされたコンポーネントのログ
- daemonファシリティのログ
- システムコンポーネント:stemd、acr_core_dump、lcm_service、servicergrd、pkgmgrd、inputdを含む
関連トピック
Last updated: 2025年10月1日

